私が塾の先生という仕事を意識したのは、中学時代に通っていた塾で習った数学のK先生の影響でした。

その塾は、真学道場Shinから１００ｍくらい離れた場所にありました。当時は、奈良県中からこの桜井市まで電車に乗って通ってくる生徒がいるくらいの塾でした。

その塾で一時期習っていた数学のK先生が、教え方がわかりやすいのはもちろん、授業中の雑談が面白く、生活面や考え方の面でいろいろと影響を受けました。ただ、習ったのは本当に一時期で、クラスが変わったり、私自身が塾を辞めたりしたので、実際に習ったのはわずか数か月間だけでした。にもかかわらず、その数か月間の授業だけで私は虜になってしまったのです。

その後は疎遠になり、噂だけで地元で個人塾を開業されているということだけは耳に届いていました。そのような中で月日は流れ、晴れて私は塾講師の第一歩を踏み出し始めた時も、まずはK先生に報告したいという思いを抱きながらも、行けずに年月が流れていきました。K先生の地元は遠くない所なので訪ねていくということも考えたのですが、習っていたのはわずか数か月、突然訪ねて行ってもK先生は何百人もの生徒を相手に教えてこられた先生。たった数か月しか教わっていない私のことなど記憶にないだろうという思いがあって、踏み出すことが出来ませんでした。ただ、心の中ではK先生に憧れて目指した塾の先生になり、いつかこの思いが伝わるようにと思いながら塾講師という仕事を頑張っていました。

単なる塾講師というだけでなく、K先生と同じように塾経営者として自分の真学道場Shinという塾を桜井市で開いた時にも、K先生と同じように地元で塾を開ける存在になれたことを報告したい気持ちでいっぱいでした。しかし、訪ねていくことができませんでした。

そのような中、真学道場Shinを開いて数年後。SNSでK先生の存在を見つけたのです。同級生に、「K先生に連絡とりたいねんけど、覚えてくださっているかな？」と相談したら、「思い切って連絡してみたら」と背中を押されて、やっとの思いで連絡をすることができました。そうすると、私の思いは杞憂に終わり、覚えていてくださり、とんとん拍子で会うことになり、約３０年近くぶりにお会いすることが叶い、それまでの数十年の心の中で思っていた思いをK先生に伝えることができ、まるで夢心地の中にいるようでした。

さらに話が進み、真学道場Shinで働いていただくことも叶ったのです。それから、数年間でしたが私はK先生とタッグを組んで、しかも自分の塾でK先生と共に学習指導をするという夢のようなことまで実現させることができました。

本当に、信念をもって頑張れば、思いは通じる、願いは叶うということを実感した出来事でした。